#314

輪舞-revolution その3

アップロードファイル 16KBここからは、当時の記憶を掘り起こして書きます。
昔のことなので、詳細については思い出せないこともありますが。


奥井さんから電話がありました。
その場で打ち合わせを始めたのですが、内容については、まだ制作自体が進行中のこともあり、核心的なことが話せない…という状況でした。
ただ、ありがたいことに、さいとう先生の幾つかの作品を読まれていて、既に“作品の精神”を、とても理解してくれていました。


なので、打ち合わせは、ストーリーのことではなく“何を表現しようとしているのか”ということに集中することが出来ました。
「歌の世界」と「アニメの物語の世界」を完全に合致させることなんて、そもそも出来るはずもありません。
だけど「歌」と「アニメ」の両方の精神性を合わせる事は出来るはず、そう思いました。


物語のラストシーンにかかる曲だと思ってほしい。


そんなことを話しました。
前途したように、ラストシーンはまだ決まっていません。
ですが、薄々とラストシーンは「別離(わかれ)」を描くのではないか…と予感していました。
どのような種類の「別離」なのかについては、まだ具体的にイメージしていませんでしたが、


恋人との別れ、
大切な友達との別れ、
最愛の兄妹、家族との別れ、
自分を取り巻く環境の総てとの別れ…。



そんなことを漠然と考えていました。


それらを失った者が、ラストシーンで得るものとはいったい何なのか…。
そのことが歌になったとしたら素晴らしい…。
最終話まで観た視聴者は「主題歌はこのラストシーンのことを言っていたのか」と思ってくれる筈だ…。


後日、FAXでメモを送らせて頂きました。


たとえ ふたりが別れてしまっても 
ふたりが一緒だった時間は無駄じゃなかった 
だから私は 世界を変えられる



そのようなことを表現して頂けないだろうかと伝えました。
そして、図々しくも、作品世界を表現する幾つかのキーワードを歌詞に入れて欲しい…ともお願いしました。


「光さす庭」
「革命する」
「総てを失う」
「脱ぎ捨て 裸になる」
「世界を変える」


数日後、出来上がった歌詞がFAXで送られてきました。
「庭」は「Garden」となり、「革命」は「Revolution」となっていました。
みごとに精神性が表現されていると思えました。


歌詞の上に「タイトルはどうしましょうか」と書かれていました。
仮タイトルで「Take my revolution」と書かれていたような気がします。
そこを、またしても図々しく「輪舞」と書いて「ロンド」と読ませ、「輪舞revolution」として頂けないでしょうか…とお願いし、結果、ハイフンを間に入れて「輪舞-revolution」として頂くことになりました。
(あるいは「輪舞 〜Take my revolution〜」→「輪舞revolution」→「輪舞-revolution」という変遷だったようにも思います)
「輪舞(ロンド)」という単語は、さいとう先生の漫画からインスピレーションを得たものでした。


後に、制作状況の厳しいときにも、この歌には随分と励まれました。
今にして思うことですが、あそこまで精神性を合わせる事ができたのは“当時の僕の気分”と“奥井さんの気分”が、近いところにあったのかもしれません。
…まさか。
単に奥井さんの才能の賜物でしょう。


いやいや。
やっぱりOさんのプロデュースが冴えていたのかもしれません。イクニ